私が彼を殺した
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/03/15
- メディア: 文庫
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どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)の解説に「こっちの方が難しい」と書いてあったので,期待してたのですが,期待外れでした.推理小説はよくわからないので,一般的な基準ではもしかしたらこっちの方が難しいのかもしれませんけど,問題のレベルとしては明らかにどちらかが~の方が高いと思います.小説としてもつまらなかったような.
どちらかが~の問題の構造を考えてみると次のような感じになると思うのです.
容疑者aが犯人であるという述語をA,容疑者bが犯人であるという述語をBとし,それぞれが犯人であるということを導ける証拠をそれぞれXとYとします.X→A,Y→Bという感じ.レベルが高いと思うのは,小説ではXとYのどちらが成立するかということは示されないところです.読者にわかるのは「Xの真偽が決定したことからAとBのいずれかが決定された」ということのみ.
解説を読んでこの構造を解理解したときには,かなり感心しました.
私が~でも,同様の構造によって,問題が解けるのかと思ったらそうじゃなくって.構造としてはかなり単純.
容疑者a,b,cに対してそれぞれが犯人であるという述語をA,B,Cとし,それぞれが犯人であるという証拠をX,Y,Zとしたときに,X,Y,Zを探せばおしまい.
ていねいに小説を読んでいけば,誰でも辿りつけるんじゃないでしょうか.
かなり残念な気分.もうこの人は読まないだろうなぁ.