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入門OCaml

本当は発売日に紹介記事を公開しようと思っていたのですが、うっかり忘れていました。

入門OCaml ~プログラミング基礎と実践理解~

入門OCaml ~プログラミング基礎と実践理解~

内容は、スタンダードなプログラミング言語の入門書になっていると思います。OCamlのいろいろな機能を、サンプルプログラムで紹介していく、というスタイル。それぞれの機能の紹介は駆け足になっていますが、まあ対象とする読者(JavaRubyといった普通の言語には十分親しんでいるプログラマの人)からすれば、十分じゃないかとも思います。執筆されたOCaml-nagoyaというのは、名前からわかるように名古屋のサークル(?)でOCamlの勉強会を定期的に開いてらっしゃるようです。そして、名古屋と言えば名古屋大学であり、OCaml使い的には、OCamlの開発者のお一人であらせられるJacques Garrigue先生です。この本の内容も、Garrigue先生も確認されたとのことですし、実際、内容にも多少偏り(悪い意味ではなく)を感じなくもありません。そういうわけで、内容は十分に濃いものになっていると思います。

しかし、この本の中で一番読むべきは内容ではないと思うのです。前書き的に「入門OCamlの発刊によせて」という文章を、Garrigue先生が書下してくださっているのですが、こっち。

(略)、多くのプログラミング言語が便利さだけを目指しています。よく書くものを書きやすくすればいいという考え方です。
(中略)
Objective Camlが提案しているプログラミングスタイルは、さまざまな概念を表しやすくしながら、プログラムの整合性を確かめる型推論という仕組みによって、多くのバグを未然に防ぐことです。

例によって、PなんとかとかRなんとかとかがバッサリ切り捨てられているのは、ご愛嬌ですが、それよりも引用の後者。OCamlがどういうプログラミング言語であるかということを、一言でまとめるとこうなるということだと思います。あまりGarrigue先生的な文章ではなく、普通の日本語の文章になってしまっているところが惜しまれますが(おそらく編集者の方の努力のたまものでしょう(と私の指導教員が言ってました:逃))、「Quiche Eater」のためではない本物のプログラミング言語はかくあるべきだという、強い信念が感じられます。(もちろんこの信念に同意できるかどうかは別です)

あと、おもしろいのは参考文献だと思います。「次に読むべき本」の紹介ではなく、ほんとに参考にした文献です。どこぞの卒論ですか、ぐらいの勢い。