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ユビレジで水が飲めるようになるまでの話

水が飲めるようになるまでの例え話にだけ食いついてみる。まあタイトルはちょっと嘘で「お菓子を食べられるようになるまで」の話ですけどね。

ユビレジは、2010年に始めたスタートアップです。現在のスタッフは10名で、まあ今のところ不自由なくオフィスで作業中にお菓子をつまむことができています。この体制を確立するまでの経緯で、その中に権限の委譲に相当するものがあったのか、ちょっと考えてみたい。

一番最初:手の空いてる人がお菓子を買いに行っていた時代

最初は、お菓子の買い出しは社長の木戸の仕事でした。木戸と私しかいない時代のことです。このときは、別に私がお菓子を買いに行くのをすごいいやがったとか、私がたまにお菓子を買い出しに行くと木戸の嫌いなものしか買ってこないとか、そういう事情ではなくて、Webサービスを作るようなスタートアップの場合、最初は(ソフトウェア開発ができない)人ってお菓子の買い出しくらいしかやることがないのよね……という状況。*1

僕が黙々とお菓子を食べながら開発をして、木戸が唯々諾々とお菓子の買い出しに行ってました。

この体制の問題は……そんなにないな。まあ暇な人が暇なときに買い出しに行くという体制なので、忙しいとお菓子がなくなるという問題があります。でも忙しいときは近所のコンビニでうまい棒買ってくればそれで良いよね。

まとめ
  • 暇な人が暇なときに買いに行く
  • 二人とかの体制だと特に問題はない

東京に出てきてから:渋谷のドンキホーテに木戸がお菓子を買いに行っていた時代

上と変わらないので省略

権限の委譲1:僕がドンキホーテにお菓子を買いに行っていた時代

さて、このころ何があったかというと、

  • オフィスの分割:開発チームとセールスチームで別々の拠点になりました
  • 会社のクレジットカードを作って、木戸と僕が持つようになった

という二つがありました。あ、お菓子の文脈で言うと、ですからね。他にもありましたよ、人が増えたりとか。

木戸はセールスチームを指揮しているので、開発チームのオフィスにはお菓子がなくなりました。なくなったというか、まあほっといても補充されなくなった。

しょうが無いので、僕がお菓子を買いに行くことになりました。なぜ僕がお菓子を買いに行くかというと、僕は役員なのでどれだけ働いても給料が変わらないからです。これを社員の人にやってもらおうとすると、お菓子を買い出しに行く時間のお給料を払う必要があります。当然ですが、社員の人はユビレジの開発をしてもらうためにユビレジで仕事してもらっているので、そんなことに給料は払いたくありません。そこで払わないという手もあるとは思いますが、まあ道徳的にそういうのは避けるべきです。僕が買いに行っていました。

もう一つの僕が買い物に行く理由としては、精算をできるだけ簡単にすませたいというものがあります。僕は会社のカードを持っているので、そのカードで買い物をすればそれですみます。このカードを持っていない人が買い物をすると、領収書を持ってきてもらって、経費の申請をして、計算をして、振り込まなくてはいけません。まじめんどい(僕はやったことないけど)。

だいたい、2週間から1月に1回くらい、深夜にドンキホーテまでてくてく歩いて行って、お菓子を買って、帰ってきて、みんなで食べてました。ちなみに、お菓子は切れるとなかなか補充されません。なぜかというと僕が買いに行くのを忘れるから。仕事してたいよねー。

まとめ
  • 役員の報酬は定額なので、雑用はできるだけ役員にやらせるほうが(金銭的な面で)都合が良い
  • クレジットカードという支払いに関する権限が松本に委譲されたので、支払いができるようになった
  • 一度お菓子が切れると、松本が買い物に行く気になるまで補充されないので、お菓子なしの状態が続くことがあった

アスクルの活用

さて、お菓子がなかなか補充されない状態にぶち切れた開発チームのスタッフが、ある日こんなことを言い出します。「Amazon楽天でお菓子を買おう!」これはすばらしいアイディアです。ドンキまでてくてく片道20分かけて歩いて買いに行っていたことを考えると、インターネットで3回くらいクリックするだけでお菓子が届きます。IT革命です。

何度かお菓子を買いましたが、もっとよく考えてみると、そういうのに特化したサービスが世の中にはあります。アスクルです。

さっそくアカウントを作って、お菓子の買い物はアスクルで行われるようになりました。同時に、松本はお菓子の買い出しの職務から外されることになりました。なぜかというと、他にやることがあるので、どうしてもどんどん後回しになってしまい、お菓子不足に悩まされる期間が長く続く傾向にあったからです。ユビレジのお菓子係は、さらに年功序列の上位であることから、デザイナの宮内という子に引き継がれました。彼女は(松本に比べると)非常に几帳面で、お菓子が切れた状況が何週間も放置されることはなくなりました。

当初は、アスクルで注文するときにも、なんとなく私が相談されていたのですが、現在では完全に彼女が一人でお菓子の発注を担当しています。お菓子の発注という権限は、こうして完全に委譲されたのでした。

こうして、ユビレジではいつでもお菓子が食べられる体制を2年かけて確立したのでした。たかがお菓子といえども、なかなか苦労するものですね。いや苦労は特にしてないけど。時間はかかった。

まとめ
  • お菓子の買い出しを通販で行うというイノベーションが発生
  • これにより、買い出しにかかる時間が劇的に短縮され、役員の時間外の雑用から社員の業務(の一部)へと、買い出しが昇格
  • 安定したお菓子の供給が可能になった

結論

こうしてみてみると、まさに権限の委譲と呼ぶにふさわしい変遷をたどってきていることがわかります。お菓子を買うという、社長にのみ許された特権的な行為が、一般の取締役に開放され、現在は社員が行っています。あと1年もすれば「誰もやる人がいなかったので、できるだけ省力化できるように最適化を進めた」という記憶は失われ、きっと「お菓子の買い出し」がそれ自体で一つの権限として確立される日が来ることでしょう(来ない)。

でもこれって要するにめんどくさい雑用が合理的に押しつけられる先に流れていったとかいう話なので、なんかこうソフトウェア開発みたいな仕事とかスクラムがどうとかそういう文脈で話を出しても、なんか良くわからなくなるよなーとか思いました。

いつもの宣伝です

お菓子が安定して供給される体制を2年がかりで確立したユビレジでは、現在、求人を行っています。どうやら今は「事業開発担当者」とかを募集しているみたいです。ソフトウェアエンジニアではなさそうなことは推理できますが、具体的に何をする人なのか僕はあんまり良くわかってなかったりします。

興味がある方はメールをください。

*1:正確に言うと、木戸は渋谷に出稼ぎに行って僕の給料を稼いできていたので、ちゃんと仕事してましたが、サービスの開発という面ではまああんまりやることがなかったのは否定しにくいと思う。