自律連合型基盤システムに関するシンポジウム
http://www.osss.cs.tsukuba.ac.jp/kato/afcs2006.html
感想とか。
(1) 自律連合型基盤システムとサステーナブルシステム - 加藤和彦(筑波大学大学院システム情報工学研究科 教授)
遅刻したので、最初の2分くらいは聞いてないと思う。
サステーナブルシステムという概念の導入から始まる講演。サステーナブルシステムというのは「生き延びるシステム」とでも訳されるらしい。「止まりませんよ」という話。
6台くらいのグリッドがあって、相互に監視しており、通常サービスを提供するMasterが突然死んだ場合に、他のバックアップの中から次のMasterを選んでサービスを再開する、というデモをやっていた。
ポイントは、
- Masterは現在の状態を他のバックアップに送信しているため、他のバックアップはMasterが死んだ場合にすぐにサービスを再開できること
- VMのレベルで実装が行われているため、システムで動かすアプリケーションには、そのための対応がほとんど必要ないこと
だと思う。
このデモはなかなか良かった。良かった、というのはGUIが綺麗で、視覚的に楽しめた、ということ。そもそもMasterが1台しかない構成はどうなん?とか、グリッドが100台構成になったら大丈夫なん?とか、いろいろと気になるところはあった(質問すればいいのに)。
んで、このようなシステムを実装するための細かい技術の説明が次以降の講演(という流れと理解した)。
(2) 障害復旧のための連合型広域分散アーカイブ - 阿部洋丈(科学技術振興機構 研究員)
VMをサスペンドしてできるだけ高速に他の計算機にコピーしたい、という話。これができれば、インターネットを通じてサーバなんかのバックアップが可能になるということだと思う。差分をとってそれぞれ送信する、みたいな話だったような気がする。そんなにつまらないとは思わなかったのだが、なぜかねむけに襲われていたので、記憶があいまい。
(3) 仮想機械ストリーミングとその応用(原題:Virtual Machine Streaming and its Applications)- Richard Potter(科学技術振興機構 研究員)
SBUMLというVMのスナップショットを取れるUMLの話。面白かった。
Streamingというのは「VMを全てダウンロードする前にアプリケーションの実行を始める」という程度の意味だと思う。これによって、VMを全てダウンロードする場合に比べて、起動の大幅な高速化が達成できるよ、といった感じ。
昼食
M先生とヨドバシカメラの上でカレーを食べる。ナンがすごくおいしかった。うちの研究室の4年生にも声をかけてみたが、誰も来なかった(私一人)ということが判明。許しがたい。
(4) 複数の計算機を有効に利用するための仮想マシン技術 - 大山 恵弘(電気通信大学情報工学科 助教授)
これもすごかった。
Virtual Multiprocessorというのは、グリッドの上にVMを作って、そのVMはSMPマシンに見える、というもの。プロセスレベルでは、綺麗にグリッド上に分散されるので、すごく速くなるとか。スレッドだとどうなるかはまだ実験されてないとのこと。当然、メモリの読み書きが必要なアプリケーションは、大体数倍程度実行が遅くなるらしい。
Quasarおいうのは、実行環境をそのままコピーできるVM。FirefoxでブラウジングをしているVMをそのまま隣の計算機に移動するというデモをやっていた。TCP/IPの接続も切れることがないらしい(sshでデモ)。ふつーのVMWareとかのスナップショットと違うところは、実行中にそのままコピーするということを考えていることだと思う。まず、VMをがーっとコピーして、コピー中に書き換えられた部分を後でコピーする、という手法にみたい。VMが止まるのは、コピー中に書き換えられた部分をコピーする時間だけで、これは通常十分に小さい、と。
(5) 効率的なサービス発見のための自律ランデブー型オーバーレイネットワーク(原題:An Autonomic Rendezvous Overlay Network for Efficient Service Discovery) - Khaled Ragab(科学技術振興機構 研究員)
まるっきり興味がなかったので、盛大に寝てしまった。ごめんなさい。
というか、まあこういったネタは大学のセミナーでもよく聞くんだけど、問題意識は理解できるものの、その後極端にテクニカルな話になってしまうので、素人には理解できないのよ。
(6) 自律連合型基盤システムにおけるデータインターオペラビリティ - 北川博之(筑波大学大学院システム情報工学研究科 教授)
上に同じく。最初のほうは聞いてたんだけど、なにを言ってるのかわからなかったのであきらめた。
(7) 知識発見を用いた情報源連合 - 石川佳治(名古屋大学 情報連携基盤センター 教授)
上の続き。
全文検索だけだと検索しにくいよね?という話だと思う。semanticsを考慮して検索を行うらしい。現実味が皆無ではなかろうか。まあ、それっぽい説明もあって、検索結果は人が確認して、それぞれの検索結果に対するルールが表示されるので、適切でないルールを弾いてやる、とかが必要みたい。
(8) 文字列解析によるサーバサイドプログラムの静的検査 - 南出靖彦(筑波大学大学院システム情報工学研究科 講師)
サーバサイドプログラムの出力は、プログラムによって変化するので、HTMLのvalidityや安全性を確保するのが難しいから、それをなんとかするために出力される文字列を解析するプログラムを書きました、といういつもの話。(「いつもの」だったのは私一人ですが)
(9) リアルタイム通信が可能な仮想インターネットシステムの実装(ビデオ・プレゼンテーション) - 登大遊(筑波大学第三学群情報学類/ソフトイーサ社代表取締役会長)
ハムスターの親玉が出てくることを期待していたのだが、実際にはビデオだった。ほら、小学校とかでたまに「視聴覚室」でビデオをみる授業があったでしょ?あんなな感じ。
話自体は面白かった。
今日の講演のような話には、インターネットと同じような環境でテストできることが必要だが、そんな環境を用意するのはめちゃくちゃ大変なので、ソフトウェアでなんとかしましょうという。数百台程度のネットワークを一台のPCの上に仮想的に用意できるらしい。グリッドを使えば数千〜数万台規模のネットワークになるよ!
ということだったと思う。